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2023/08/31

「お客様に長く使ってもらいたい」という想いから自社パッケージをクラウド化、その加速のために「ISV Success」を活用

全国から「ありがとう」が届く会社になることを目指し、痒いところに手が届くパッケージ「Navisiaシリーズ」を 30 年程前から展開している株式会社ナブアシスト。同社は以前より、「お客様に長く使ってもらいたい」という想いから、パッケージ製品のクラウド化を決め、自社データセンターや他社クラウド サービスを利用して徐々に進めてきました。2017 年には、移行先のクラウド基盤として Microsoft Azure を選択し、本格的にクラウド化を推進しています。さらに 2023 年 2 月からは「ISV Success」も活用し、クラウド化をより一層加速させています。既にクラウド化によって、導入ハードル低下による顧客数の増大、利用状況の把握かつ改善による解約率の減少、サーバー更改に伴うリプレイス商談にかかるコストの削減といったメリットを享受。今後もクラウド化を積極的に推進し、これらのメリットをさらに増やしていくと共に、お客様に喜んでいただける製品環境の整備や、Microsoft Azure Marketplace を活用した認知度向上などが目指されています。

Nav Assist Co

2017 年から「Navisia」をクラウド化、3 つの理由から Azure を選択

1975 年の創業以来、各業界の顧客にとって「信頼できるパートナー」であることを目指し、IT ソリューション ビジネスに取り組んでいる株式会社ナブアシスト (以下、ナブアシスト)。同社は、顧客の業種に特化したシステムや、それらを支える各種テクノロジー製品、24 時間 365 日対応可能なサポートなどの提供を通じて、顧客の多様なニーズに応え続けています。その一環として、各業界に特化したパッケージやサービスを「Navisia」として展開。他社では決してまねのできない「痒いところに手が届く」パッケージやサービスを提供しています。

「Navisia シリーズは、全国のお客様にオンプレミスのパッケージとして、ご要望に応じて一部作り込み (カスタマイズ) を行ってご提供してきました」と語るのは、ナブアシスト 代表取締役の江口 大介 氏。しかし長期にわたって提供を続けてきた経験から、これからは個社対応で作り込みを行ったパッケージをアップデートし続けることは、難しくなると判断したと言います。

「手軽に使い始めてその価値を感じていただき、その後も長く使い続けていただくには、標準化された機能を提供し、そのアップデートを一律で行い続けることが必要です。そこでここ数年は、Navisia シリーズのクラウド化を推進しています」(江口 氏)。

Azure を利用したクラウド化へ本格的に取り組みが始まったのは 2017 年。その進捗状況について、ナブアシスト 常務執行役員でソリューション統括部 統括部長を務める中澤 義則 氏は、次のように説明します。

「Navisia には運輸、卸売/小売、公共/介護、サービスなど、さまざまな業界向けのソリューションが用意されていますが、まず最初に運輸業界向けの『Navisia 運送販売システム』をクラウド化しました。これは名前のとおり運輸業に特化した販売管理システムであり、受注/配車から請求/収支分析までカバーした機能によって、運送事業者の経営判断をサポートするものです」。

続けて中澤 氏は、「同時期に、『点呼+(プラス)』サービスを新たに立ち上げました。サービス提供開始時は毎日 30 名程度の利用でしたが、数年経過し現在では、毎日約 20,000 名の方が点呼のために利用しています。自動車運送事業者の点呼に関しては、2022 年 12 月に国土交通省より業務後自動点呼制度の実施要項が公表され、『点呼+(プラス)ロボット版(unibo)』は、国土交通省より自動点呼機器として第 1 号認定をいただきました。今後はますます利用が拡大し、毎年 10,000 名以上の利用者が増加すると予測しています。Azure を採用したことにより、利用規模に応じて CPU、メモリ、ハードディスク、ネットワークなどのスケールアップが容易に行えるため、安定したサービスを提供していることを実感しています」と語ります。 

自動車運転者の複雑な労働状況を可視化することで、労働時間等の改善のための基準 (改善基準告示、いわゆる 2024 年問題) を支援する「Navisia 乗務員時計」も Azure へ移行を行いました。また、運送業以外では、食品スーパーマーケットやドラッグストアで適切な人員配置と勤務予実管理、人時生産性の見える化により働き方改革を実現し、全国 3,000 拠点以上のお客様に利用いただいている「Navisia 労務管理システム」もクラウド化により手軽に使い始めることができ、お客様はその価値を感じていると言います。

「移行先のクラウド基盤としては、本格的に移行を始めた当初から Azure を選択しています」と中澤 氏。その理由は大きく 3 つあると説明します。第 1 は市場シェアの高さ、第 2 はリーズナブルな価格体系、第 3 は Office 365 (現 Microsoft 365) との親和性が高く、これと連携した機能拡張が容易な点です。「当社のお客様には中堅、中小企業が多いのですが、そのほとんどが日常業務に Office を使っており、最近では Microsoft 365 の連携利用も増えています。このようなお客様にとっては、Microsoft との親和性が高いほうが使いやすいのです」(中澤 氏)。

「ISV Success」も活用、テクニカル サポートでクラウド化を加速

このような取り組みを進める中で出会ったのが、Microsoft が 2022 年 11 月に発表した「ISV Success」でした。これは、本社が日本国内にあること、事業ドメインが B2B であること、Microsoft のパートナー登録を完了していること、アプリケーションを Microsoft のマーケット プレイスで公開および拡販する計画があること、を利用条件に、ISV 事業者のビジネスの成長を「技術」「拡販」の両面から支援するプログラムです。具体的には、Azure をはじめとする開発リソースの無償提供、本来なら月額 1 万円かかる「24 時間 365 日」のテクニカルサポートの無償提供、Microsoft の各種マーケット プレイスを通じた拡販支援が行われています。

「これまでにもお付き合いのあったダイワボウ情報システム様に 2022 年 12 月にご紹介いただき、活用に向けた検討を開始しました」と中澤 氏。ナブアシストは既に 10 年以上前から Microsoft パートナーであり、Microsoft のマーケット プレイスを拡販に活用したいという思いも持っていたと語ります。「またこのプログラムを活用することで、まだクラウド化が完了していない他のパッケージのクラウド化も加速できると期待しました」。

2023 年 2 月には申し込みを実施。プログラム参加が承認された後、まず着手したのが「Navisia レポート」というパッケージのクラウド化でした。これは、業務サーバーのデータベース (SQL Server) からデータを抽出し、ユーザーが必要とするレポートや帳票をノー コードで生成するというもの。個社単位にオンプレ型で導入し、マウス操作や関数の選択などお客様自身が簡単な操作でデータ抽出や帳票デザインを作成できます。そのサーバー機能を、Azure の IaaS へと移行したのです (図 1)。

その作業内容について、「既存の Navisia レポートのサーバー機能を Azure へと載せ替えると共に、新バージョンに向けた機能拡張も並行して行っています」と語るのは、ナブアシスト ソリューション統括部 第二ソリューション部 システム一課 課長の浅野 剛志 氏。その作業の中で、ISV Success のテクニカル サポートを活用していると言います。

「移行に伴う機能拡張としては、CSV や Microsoft Dataverse などインポートできるデータ種類の拡張や、出力するレポートをいったん PDF ファイルに落とし、それをダウンロードする機能などを考えていました。当初はこれらの実現方法に悩んでいたのですが、テクニカル サポートに相談することで、すぐに最適な回答を得ることができました。また、クラウドに慣れていないお客様が簡単に Azure を使うための方策についても助言をいただき、それも製品機能として取り込んでいます」(浅野 氏)。

また中澤 氏も「テクニカル サポートによって移行作業は確実に短縮できる」と指摘します。

「実は『点呼+(プラス)』は Azure の IaaS へと移行した後でお客様が急増し、仮想マシンの管理負担が大きくなったことからコンテナへと移行しています。これを具体的にどのように進めるかに 4か月ほど悩み、最終的に Microsoft の技術者とやり取りすることで解決したのですが、このころに ISV Success があれば、もっとスムーズに進んでいたはずです」(中澤 氏)。

テスト段階では無償リソースも活用、マーケット プレイスによる認知度向上にも期待

既に Microsoft パートナーとしての特典 (図 2) もあるため、開発フェーズでは ISV Success の無償リソース提供はまだ利用していませんが、今後テスト段階ではこれも積極的に活用したいと浅野 氏は述べています。

「自前のリソースでテストを行うのでは、どうしても遠慮がちになってしまいます。特に大規模なテストを行うのはコスト面から躊躇しがちですが、ISV Success の無償リソース提供は合計 12 万 6,000 ドル相当だと聞いており、これなら躊躇なく大規模なテストを行えます」。

「Navisia レポート」の Azure への移行は 2023 年 9 月に完了する予定。その後は Microsoft のマーケット プレイスも活用し、Navisia シリーズの認知度を高めていきたいと中澤 氏は語ります (図3)。さらにその後も、まだクラウド化されていない他の Navisia 製品のクラウド化や、新規製品のクラウド提供も、ISV Success を活用しながら進めていきたいと言及。Azure によるクラウド化は、既にさまざまなメリットをもたらしていると言います。

「クラウド化による導入ハードルの低下は、お客様の増大に貢献しています。また、オンプレミスではお客様がどのように使っているのかがわかりませんでしたが、クラウド化でお客様の利用状況について分析が可能になり、利用率が低下した場合にコールセンターから何があったのかをお伺いすることで、問題解決につなげることも容易になり、解約率の低減につながっております。さらに、サブスクリプション ビジネスへと移行することで、サーバー更改タイミングで改めて商談を行う必要がなくなり、リプレイスによる商談にかかるコストの削減を進めながら、継続利用をしていただくことで『お客様に長く使ってもらいたい』という想いに近きつつあるのです」(中澤 氏)。

Azure によるクラウド化によって、ビジネス モデルそのものを変革しつつあるナブアシスト。ISV Success でクラウド化が加速すれば、さらに大きなメリットを享受できるようになるはずです。しかしその根底にあるスタンスは、これからも変わらないと江口 氏は語ります。

「当社は決して大規模ではない地方の会社ですが、全国から “ありがとう” が届く会社になろう、をモットーにビジネスを行っています。Navisia シリーズはその思いを具現化したものですが、これをクラウド化することでさらに多くのお客様に喜んでいただいています。今後は ISV Success を活用してクラウド化を加速することで、さらなる “ありがとう“ につなげていきたいと考えています」。

“気軽に使い始めてその価値を感じていただき、その後も長く使い続けていただくには、標準化された機能を提供し、そのアップデートを一律で行い続けることが必要です。そこでここ数年は、Navisia シリーズのクラウド化を推進しています”

江口 大介 氏, 代表取締役社長, 株式会社ナブアシスト

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