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2023/03/09

Microsoft 365 Business Premium によってセキュリティを大きく向上。社内勉強会を通じて現場からの DX を実現していく

さまざまな業務のデジタル化が可能となる一方で、IT の個別最適化には「運用保守の負荷」という落とし穴が待っています。システムごとのアップデートに手間取っていては、セキュリティ リスクも高まってしまうでしょう。

株式会社セルート (以降 セルート) は、IT インフラを個別の IT システムを併用した環境から、包括的なソリューションである Microsoft 365 Business Premium に切り替えました。この施策により、運用負荷の軽減やセキュリティの向上、業務効率化のすべてを成し遂げています。

Selut

IT の個別最適化により生まれたセキュリティ課題

日本全国でバイク便事業を展開するセルート。集荷から配送までを最短 30 分で完了する「緊急輸送」のノウハウを活かし、生体試料や治験薬といったメディカル領域での配送にも力を発揮しています。

さらに同社は 2017 年に、物流プラットフォームアプリ「DIAq (ダイヤク)」をリリースしました。配送需要とギグワーカーをデジタルマッチングすることで、効率的な物流を実現しています。

業務面においても、いちはやく地図上でのルート計算システムを導入するなど、IT 化によって競争優位を獲得し続けてきたセルート。しかし、個別最適な IT 化は新たな課題を生んでしまったと、株式会社セルート 経営管理本部 コムウェブ 課長 澁谷孝介氏は苦笑します。

「過去にはメールやセキュリティ、地図などのサービスを個別に選定して導入していました。オンプレミスの IT がバラバラに増えていった結果、サーバー管理や ID 管理にかかる負荷が増大してしまったのです。常にアップデートをしなければセキュリティ リスクも高まりますが、そもそもソフトウェア側が SSL に対応していないといった問題も生じていました」(澁谷氏)

2017 年、セルートは検体保管事業を担う子会社、株式会社ファイセルを設立します。この子会社の IT インフラに採用されたのが、Microsoft 365 でした。

「ファイセルの IT インフラには 3 つの選択肢がありました。1. オンプレミスのサービスでライセンスを別途購入する。2. セルートのテナントに合流する。3. クラウドのサービスを導入する。という三択です。既にオンプレミスではサイバー攻撃に対処しにくいという懸念がありましたから、セキュリティも含めたオールインワンの IT インフラである、Microsoft 365 を採用したのです。いずれセルートに展開することも視野に入れた、パイロット導入としての位置づけでもありました」(澁谷氏)

そして子会社での実証を経て、2020 年より、セルート本社への Microsoft 365 Business Premium 導入が始まります。

ユーザー教育に注力しながら Microsoft 365 に切り替えていく

Microsoft 365 Business Premium は中堅中小企業向けにカスタマイズされたプランであり、Office アプリケーションや Microsoft Teams を始めとするコラボレーション ツールの利用はもちろんのこと、ID 統合管理の Azure Active Directory (Azure AD)、デバイス管理の Microsoft Intune、ファイル暗号化の Azure Information Protection など、高度なセキュリティ機能が利用可能となります。

Microsoft 365 を有効活用するために、ファイセルでの導入経験をフィードバックしたと、株式会社セルート 社長室 レジリエンスエンジニアリングデベロップメント 執行役員 亀井松太郎氏は語ります。

「Microsoft 365 には本当に色々な機能が揃っており、さらに自由度がとても高いため、環境設定が今どのような状態なのか、導入初期は全体を把握するのが大変でした。セルートでの導入においても、社内規定に沿った運用ルールから考えていく必要がありました。また、SharePoint Online や Power Automate、Microsoft Lists などは業務効率化に欠かせないツールとして、積極的に使うように薦めました」(亀井氏)

亀井氏はファイセルの取締役 CTO を兼務し、同社での Microsoft 365 導入と展開をリードした経験から、Microsoft 365 導入の “勘どころ” を澁谷氏に伝えたと言います。こうしたフィードバックのおかげで、具体的な質問をしながらベンダー選定から導入まで着実に進めることができたと、澁谷氏は続けます。

「Microsoft 365 の導入は、KDDI まとめてオフィス (KMO) に支援していただきました。我々の業態は、パートナーの多くが請負契約の方だったり、共用パソコンが存在したりといった特色を持っています。設定ミスによってデータが不必要に公開されてしまわないかなど不安な点もありましたので、Teams を介して細かく打ち合わせをしながら、導入を進めていきました。我々のことを深く理解し、アドバイスしていただいたおかげで、トラブルなく切り替えることができたと思います」(澁谷氏)

新たなシステムの導入は、システム部門が適切な設定をすれば終わるものではありません。正しく使われるにはユーザー教育も必要です。セルートにおいても、導入時に手厚い研修が実施されました。

「管理者向けと利用者向けの研修をそれぞれ KMO にしていただきました。管理センターの見方や設定項目の意味、パラメーター シートの整理などを教わったおかげで、ファイルサーバーの SharePoint Online への切り替えは自社で対応することができました。利用者に対しても、Teams の研修を特別に動画に収録して、社内で共有させてもらえましたので、参加できなかった者も混乱することなく、スムーズに使い始めることができました」(澁谷氏)

危険なメールをあらかじめ排除。豊富な機能によって現場主導の業務効率化も始まる

メールサーバーを Exchange Online に切り替えた途端、スパムメールが格段に減ったと、澁谷氏は笑みを見せます。

「フィッシング詐欺などのメールがほとんど来なくなりました。これだけで効果を実感できます。Exchange Online への切り替えは、マルウェアの Emotet が脅威になりだした頃だったので、セキュリティ強化のタイミングとしてはギリギリだったと思います。オンプレミス時代は、セキュリティ ソフトが反応してくれず、システム部門からユーザーに対して注意喚起するようなこともありましたが、今では自動でブロックしてくれています」(澁谷氏)

社員が持ち歩くノート PC も Intune で管理できるようになったことで、条件付きアクセスの実施から紛失時の対策まで、大きくガバナンスが向上しています。

また、現在、セルートでは Teams が普及しており、ユーザーにもシステム部門にも大きな業務効率化をもたらしてくれていると、澁谷氏と亀井氏の両名は言います。

「我々は全国に営業所を設けて展開しています。これまでは責任者が集まって会議をしていましたが、Teams によって、それぞれの拠点から話し合いや資料共有ができるようになりました。Web 会議の予約設定や日程調整なども、これまではシステム部門が担当しなければならなかったのですが、全社で Microsoft 365 が使えるようになったおかげで、その負担も解消されました」(澁谷氏)

「私はリモートワークが多いのですが、テキストでうまくトラブルを説明できない部下もいます。そういう場合でも、Teams で画面共有さえすれば一目瞭然です。もう Teams 無しでは働けません」(亀井氏)

さらに、システム部門がツールの利用を主導するだけでなく、現場からも Microsoft 365 による業務改善が続々と生まれています。

「厳密な温度管理が必要なメディカル部門は、とくに教育が必要な分野です。容器の蓋の開け方や保冷剤、蓄熱材の入れ方など、配送員にきちんと覚えてもらわねばなりません。以前は紙で説明していたのですが、それでは分かりづらいため、動画を使いたいという要望がありました。SharePoint Online なら、動画を格納しさえすれば認証やストリーミング機能を用意しなくても気軽に社外から見ることができるため、利便性が大きく向上する見込みで、配送員への展開を計画中です」(澁谷氏)

こうした Microsoft 365 の導入は、セルートの働き方改革にも大きく貢献しています。工数が大幅に削減されたばかりでなく、さらに費用以上の効果を得ていると亀井氏は微笑みます。

「SharePoint や OneDrive、Intune や Lists、Power Automateなど、今までに無い機能を多々使っていますので単純に費用面を比較するのはが難しいですが、情報システム部の作業工数は、サーバー メンテナンスだけを見ても、年間 240 時間は削減できています。今後は、セキュリティソフトを Microsoft Defender for Business に切り替えることで、さらにコスト削減が可能とになると見込んでいます」(亀井氏)

社内外での Microsoft 365 活用を進め、さらなる価値創造へ

セルートは、今期から「IT アカデミー」と題した勉強会を開催していると亀井氏は言います。

「現在、隔週で IT アカデミーを開催しています。Microsoft 365 を使いこなせるキーマンを育てて、現場で Power Automate や Lists を活用してもらうことにより、各事業部での DX を進めていければと思います。実は、以前からこうした IT リテラシーの底上げを構想していたのですが、誰でも使える Microsoft 365 の導入がよいきっかけになりました」(亀井氏)

今後は自社だけでなく、パートナー側の IT にも力を入れたいと澁谷氏は展望します。

「配送員の多くは協力企業やフリーランスの方ですから、フロントライン ワーカー用に Microsoft 365 のライセンスを提供する検討をしています。我々と同じテナントに入れば、情報共有の利便性やガバナンスが格段に向上することでしょう。たとえば機微情報が含まれる配送指示書を渡す際も、Azure Information Protection で閲覧日数を制限したり、コピー禁止にしたりすれば、デジタルですぐに共有することが可能になります」(澁谷氏)

Microsoft 365 Business Premium という、あらゆるビジネスに貢献するプラットフォームを手に入れたセルート。自発的・自律的な DX を進めることによって、さらに業界をリードするワークスタイルを確立していくことでしょう。

“セキュリティも含めたオールインワンの IT インフラである、Microsoft 365 を採用したのです”

澁谷 孝介 氏, 経営管理本部 コムウェブ 課長, 株式会社セルート

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