お客様の声
Microsoft 365 Copilot の早期の導入と圧倒的な活用率で切り拓く学情の生成 AI プロジェクト
サマリー
背景と経緯
就職・転職情報サービスを展開する株式会社学情では、継続的に企業 DX を進めるなかで、Microsoft 365 導入によりデジタル化が進展。一方で情報の爆発的な増加と業務の複雑化という新たな課題が浮上していた。
ソリューション製品とサービス
Microsoft AI Tour への参加をきっかけとして AI 導入を検討。安全性の高さや Microsoft 365 環境との親和性などを重視して Microsoft 365 Copilot を導入し、体系的な教育プログラムを実施するなど、現場での活用推進を図った。
導入の効果
導入後 3 か月で 5004 時間の業務時間削減、金額換算で 1305 万円のコスト削減効果を実現。アクティブユーザー率 100% を達成するなど短期間で大きな効果を得た。他ツールとの連携や同社業務に特化した AI エージェント作成など、さらなる活用計画が立てられている。
事例本文
株式会社学情は、1977 年に設立された就職・転職情報サービス企業で、主に新卒や 20 代若手社会人向けの採用支援を強みとしています。いまや業界のスタンダードである転職サイトや合同企業セミナーを他社に先駆けて展開するなど、常にトップランナーとして業界をリードしてきました。
株式会社学情 取締役 乾 真一朗氏によると、同社は経営理念のひとつに「チャレンジ精神を持ちつづけ失敗を恐れません。」という言葉を掲げており、新しい技術や手法に対しても積極的に取り組む企業文化が根づいているため、業務 DX に関しても全社で挑戦しようという空気が早くから醸成されていたそうです。
継続的に DX を進めてきた同社は、早い段階でマイクロソフトのサブスクリプション サービス Microsoft 365 の導入を計画。コロナ禍以前にリモートワーク環境を整備するなど、業界に先駆けて業務の効率化や自動化を推進してきました。その方針は今も変わらず、2024 年から Microsoft 365 Copilot を導入して、Teams や Dynamics 365 などの業務支援ツールと最新の AI 技術を組み合わせた次世代の業務 DX に着手しています。
株式会社学情 取締役 乾 真一朗氏
DX 推進過程で生まれた新たな課題を克服するために AI 導入を検討
同社の Microsoft 365 導入の目的は、主に従業員数の増加と業務の複雑化に対応するためのデジタル化でした。特に Teams の導入によって働き方に大きな変化が起きたと乾氏は振り返ります。
「当時、社内外とのメールのやりとりの数は膨大なものでした。Teams を導入したことで、効率的なコミュニケーションが取れるようになりました」(乾氏)。
デジタル化の進展は新たな課題も生み出しました。「Teams の活用によって社員間の発信が増え、コミュニケーションが円滑に行われるようになった一方で、コミュニケーション量が爆発的に増えた結果、整理が追いつかなくなっていました」と語るのは、株式会社学情 DX・マーケティング戦略部 マネージャーの印牧 努氏。Microsoft 365 の各ツールにデータが蓄積されるようになっていたものの、そのなかから必要なものを効率的に取得することが困難になり、特に年次の浅い社員などは苦労することが増えていたそうです。
株式会社学情 DX・マーケティング戦略部 マネージャー 印牧 努氏
転機となったのは、2024 年 2 月 20 日に東京ビッグサイトで開催されたMicrosoft AI Tour への参加でした。印牧氏をはじめとする DX・マーケティング戦略部のメンバーは「これからは AI を活用しないと競争力を維持できない」という危機感を抱き、AI 活用の検討を始めました。
当時はまだ AI の活用に懐疑的な企業も多い時期でしたが、同社では経営層も含めて AI 活用に積極的だったそうです。背景には積極的なチャレンジを奨励する同社の理念があったと乾氏は分析します。
「これまで当社では、さまざまな課題にチャレンジすることで成長を続けてきました。その過程では失敗がなかったわけではありませんが、この理念の延長線上に、AI をいち早く導入して投資効果を高めようという機運があったと考えています」(乾氏)
また、導入のひとつの理由として印牧氏は「AI ツールのなかでも Microsoft 365 Copilot であれば、入力データが社外に出ず、学習に生かされない点は大きな安心材料でした」とセキュリティ面での信頼をあげます。マイクロソフトが打ち出していた「責任ある AI」の原則に基づく安心感が、同社における Microsoft 365 Copilot 導入の障壁を取り除いたといえるでしょう。
さらに、すでに社内に浸透していた Microsoft 365 の環境と Microsoft 365 Copilot、Dynamics 365 との親和性も重視したと乾氏。「社内にある情報の整理や活用が主な目的でしたから、シームレスに Teams や SharePoint などと連携できる Microsoft 365 Copilot の導入は自明でした」(乾氏)
誰もが使いやすいように配慮された導入支援プロセス
Microsoft 365 Copilot の全社導入に向けて、同社ではまず DX・マーケティング戦略部のメンバーと経営層による試行を実施し、その検証をふまえてロードマップを策定。段階的に導入を進めました。
資料の作成やトレーニングの講師を務めた株式会社学情 DX・マーケティング戦略部 チームリーダーの石川 雄介氏は、「まずは触ってもらうことを重視して、“プロンプトとはなにか”といった基本的な部分からトレーニングを開始しました」と振り返ります。
株式会社学情 DX・マーケティング戦略部 チームリーダー 石川 雄介氏
社内のトレーニングは、2025 年 2 月からの 3 か月間、6 回に分けて継続的に行われました。特徴的だったのは、Teams や Outlook といったアプリケーションごとの活用方法をシンプルな使い方だけでなく実業務に即した具体的なユースケースを想定した内容で行った点でした。「各回 200 〜 250 名ほどの参加がありました。ほかのトレーニングと比べても関心度は相当高かったですね」と石川氏。また業務開始時からすぐに Microsoft 365 Copilot を使えるようにと、新入社員や中途入社社員向けの研修にもハンズオン トレーニングを組み込んだそうです。
さらに、ユーザーにヒアリングを実施したうえで、コピー & ペーストするだけで手軽に使えるプロンプト集や部門ごとのユースケースのまとめといった、初心者でも使いやすい支援ツールを作成。より実践的かつ包括的な活用促進施策を展開しました。
予想を上回る広がりを見せる Microsoft 365 Copilot の活用効果
これらの施策を展開した結果、同社におけるMicrosoft 365 Copilot 導入後の活用状況は、予想を上回る広がりを見せています。
トレーニングのコンテンツ作成や講師を務める株式会社学情 DX・マーケティング戦略部 課長代理の飯塚 やすな氏は、「Teams 導入以降はリモートの商談や社内会議が増え続けていたので、Microsoft 365 Copilot による Teams 会議の要約は、会議の品質向上や内容のキャッチアップに効果がありました」と、Teams 会議の議事録作成やその内容からの商談メモ作成機能を高く評価します。
さらに副次的な効果として、Outlook のメール要約や下書き作成機能には若手社員への教育効果があったといいます。
「若い世代はチャット ツールでのコミュニケーションに慣れている一方で、メールを書く機会はあまりありません。ですから彼らにとっては、Microsoft 365 Copilot によるメール文の提案が、ビジネス メールを学ぶよい機会になっています」(飯塚氏)
株式会社学情 DX・マーケティング戦略部 課長代理 飯塚 やすな氏
トレーニング講師や問い合わせ窓口を担当している株式会社学情 DX・マーケティング戦略部 主任の井上 恭兵氏によると、年次の若い社員だけでなく役職者からも相談を受ける機会が多いとのこと。
「トレーニングを受けた社員からのアンケートの回答を見ても、Microsoft365 Copilot の活用を前提とした業務進行が増えてきた印象がありますね。たとえば調べ物をする際にまずは Microsoft 365 Copilot に聞いてみる習慣が根づきつつあります」と井上氏。商談前には Dynamics 365 のデータから企業情報を調べたり、逆に商談の記録を Microsoft 365 Copilot に記述させて Dynamics365 に蓄積したりする社員が増えるなど、データの活用意識の高まりも感じているそうです。
「今までも営業社員は商談の内容を 2 〜 3 行のメモにして Dynamics 365 に残すことはありましたが、Copilot による商談の要約を商談メモとして残すことで比較にならないほど詳細な商談情報を蓄積できますし、Dynamics 365 の Copilot 機能でタイムラインを要約できるので、商談の流れが精緻にわかるようになりました」と印牧氏。AI の活用によってツールのポテンシャルが引き出され、業務の質を向上できている実感を語ってくれました。
株式会社学情 DX・マーケティング戦略部 主任 井上 恭兵氏
全社員が AI を利用し、業務時間とコストの大幅な削減を達成
Microsoft 365 Copilot の導入効果は数字にも現れています。「2025 年 2 月から 4 月までで、合計 5004 時間の業務時間削減、金額に換算すると 1305 万円のコストを削減できたという数値が示されました」と石川氏。さらに直近の調査ではアクティブユーザー率 100% を達成しました。つまり、すべての社員がなんらかの用途で Microsoft 365 Copilotを活用していることになります。
石川氏は「現場からは、これまで 1 〜 2 時間かかっていた業務が 5 分で済むようになった、という声ももらっています。導入を推進した立場としてはとても嬉しいですね」と笑顔を見せます。
導入から半年足らずでここまでの成果が得られた背景には、同社にもともと根づいていた「自分たちでつくれるものは自分たちでつくる」という内製文化があったからだろう、と乾氏は分析します。
「内製を基本にすることで、社内で使いやすいものをよりスピーディーに展開できます。今回の迅速な Microsoft 365 Copilot の浸透を見ても、そういった素地が生きていると感じています」と乾氏。ただし内製一辺倒ではなく、AI 活用のノウハウを持つベンダーに勉強会やセミナーの開催を依頼するなど、外部の知見も取り入れながら、より効果的な施策を追求したといいます。
AI 活用は組織全体を活性化させる効果も。視線は次の挑戦へ
同社ではこれらの効果に満足せず、さらなる高みを目指しています。社内業務のみならず対外サービスにおいても Microsoft 365 Copilot の活用は広まりつつあり、求職者との面談動画から必要な情報を抽出して推薦文や職務経歴書を作成したり、スカウトメールの誤字脱字検索や求職者向けキャッチコピーを作成したりと、さまざまな用途で使われ始めているといいます。
「いままさに取り組もうとしているのが、Microsoft Copilot Studio による、用途に特化した AI エージェントの制作です。細かい規定のある求人原稿の作成・運用サポートや、クライアント企業のリサーチ ツールなどを内製できれば」と印牧氏。「社内ナレッジを有効活用するためのデータ整備も並行して進めたい」と、視線はすでに次の挑戦に向けられています。
印象的だったのは「トレーニングに参加した社員の新鮮な驚きやその後の取り組み方を見ていると、ワクワクした気持ちが湧いてきます」という井上氏の言葉でした。AI 活用プロジェクトが組織全体の活力向上にもつながっていることが伝わってきます。
株式会社学情の AI 導入プロジェクトは、社内に根づいたチャレンジ精神と Microsoft365 Copilot という大きな可能性を秘めたツールとの幸せな出会いによって、目覚ましい成果をあげつつあります。そのプロセスには多くの示唆が含まれており、AI をはじめとする最新技術を活用した DX を進めようとしている企業にとって大いに参考になる事例と言えるのではないでしょうか。
お客様情報
その他のお客様の声
AI で変わる中小企業の経営力
本情報の内容 (添付文書、リンク先などを含む) は、作成日時点でのものであり、予告なく変更される場合があります。